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2009年 11月 12日

第6回川と山のぎふ自然体験活動の集い(その3)

基調講演の後は5つの分科会に分かれて活動しました。
わしは、あの小野木三郎先生を講師に「御嶽の原生林を歩こう」というプログラムに参加しました。
集まったのは14人。その中には5人家族のグループ参加の方もみえました。

まずは屋内で座学。
気温(標高)と降水量で変化する世界的な植生のカテゴリーのなかでこれから歩く御嶽濁河温泉付近の植生がどのような位置づけになるのかを学びました。
・このあたりは常緑針葉樹林(タイガ)(亜寒帯)。「スイスを歩くようなもん。」
・外国の常緑針葉樹林帯は樹種が1種類のことが多い。この辺りの針葉樹の種類は8種類と多い。「日本の勝ち」
 ヨーロッパ、カナダの常緑針葉樹林帯は氷河のため一たん死滅した植生が回復した原生林なので樹種が少ない。
・濁河より下は道沿いには自然が残っているように見えるが伐採が進み人工林がほとんど。
・濁河より上には自然の状態が残っている。
・岐阜県は照葉樹林帯(暖温帯)からツンドラ(寒帯)までの植生が観察できる素晴らしいフィールド

「木や草があるのはあたり前ではないんやよ。」
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小野木先生は「緑虫」とあだなが付けられるほど緑が大好き。
帽子、ジャケット、ザック、ズボン、髪にグリーンのメッシュまで入れるとう徹底ぶり。(上の写真の靴下にも注目)

「パンツまで緑やけどビール賭ける?」
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原生林探索コースに入って、まずは針葉樹が何種類あるかを尋ねられました。
大木から、芽生えたばかりのチビまで、主に樹皮や葉っぱの違いで数を増やしていきます。
小野木先生からは特に種名や見分け方の詳しい説明はありません。
誰でも見た目で違いがあるのは分かるのですが、どこが違うのかを言葉で表現するよう指導されました。

その場その場で観察される植物に関する面白いお話を聞きながらゆっくり歩きます。
・このあたりの常緑針葉樹林帯には広葉樹として大木となったダケカンバだけが少しだけ残る。
 ダケカンバは陽樹(陽のあたるところで発芽、生育しない樹)だから。
 シラビソなどは陰樹(日陰でも発芽、生育できる樹)なので暗い原生林の林床で発芽し世代交代できる。
・発芽に最も適した環境は苔むした倒木の上。観察すると針葉樹の幼木は確かに倒木の上に多い。
 樹の根元に根が立ち上がったような洞ができているのは、発芽したときの倒木がその後朽ちて無くなった名残。
・マツの仲間には葉が2本、3本、4本、5本のものがある。5本あるのがゴヨウマツ。
・立ち枯れの樹も役に立つ。虫、キノコ、鳥を育てる。→生物多様性
・ササは嫌われ者だが地下茎を張り地盤を強くする。日本固有の種類も多く450種もある。豪雪地帯のササと暖地のササで形体に違いがある。
・林床には笹型と苔型の2タイプがある。

連発される親父ギャグにもついていかないといけません。
「この樹はジャイアンツや。」というように、ひねったのもあって、もう必死です。
研修室ではすごく声が大きい先生だなと思いましたが、フィールドに出るとちょうどいい。
小里笑さんのお話にもあったように、参加者の注意を絶えず引き付ける話術は勉強になりました。

「笹も役に立っとる。」
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「皆さんもここらで痺れを切らしとると思うので、見分け方を説明します。」
と参加者に配られたのが、最も権威があると言われる「牧野新日本植物図鑑」をコピーした資料でした。
『牧野植物図鑑の謎』

写真の図鑑に慣れた者にとっては、線描のイラストだけでは現物のイメージがわかないし、特徴を記述した解説文の分量が多すぎてどこがポイントなのかよく分かりませんでした。
参加者の皆さんもペーパーを手に持って戸惑っている様子。
そこで小野木先生が葉に関する記述に注目するように言われました。
「シラビソは「葉は・・・枝上に2列に並ぶ」、オオシラビソは「葉は密に互生し」となっている。
この意味を考えると、シラビソは軸が見え、オオシラビソは軸が見えないというこっちゃ。」
実物をその観点で観察すると、あら不思議。さっきまで同じように見えていた2つの樹の枝がまったく違うのが分かりました。

植物図鑑とはこのように使うものだったのですね。
書いてあることがどういう意味かを現物と照らし合わせて確認する。
最初から、どこが違うかを言葉で表現するよう指導されていたのも、ここに繋げるための練習だったのだと思いました。

この辺りで観察できた針葉樹は、シラビソ、オオシラビソ、トウヒ、コメツガ、チョウセンゴヨウ、ヒメコマツ、イチイ
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車道に出るころには、もう夕暮れが近づいていました。
ダケカンバとシラカバの見分け方やその雑種もあるというお話を聞きながら、お客が少なく寂しげな温泉街を抜けて少年の家に戻りました。
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by s_space_s | 2009-11-12 22:57 | 自然 | Trackback | Comments(0)
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