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2011年 05月 13日

ブナの森を楽しむ

元東北大学農学部附属演習林助教授西口先生が書かれたブナの森の楽しみ方。
ブナの森で遊んだり山菜をとったりするお話ではない。
森を楽しむためには、その構造と生態系を理解しないといけない。

いくつか、面白かったポイントをメモしておく。
・日本のブナ科ブナ属は2種:ブナ、イヌブナ
 葉による見分け方が解説されていたが、個体差が大きいのでそれだけで同定するのは困難。

イヌブナの側脈の本数は10~14対。ブナは7~11対。(H23.5.14 春日村で撮影)
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イヌブナの葉脈には長い毛が残る。(同上)
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・ブナ属の葉は側脈の先端部分の縁が窪む。
・イヌブナは太平洋側でモミと混交群落を形成することが多い。
・日本海側のブナは圧倒的な優位種になる
 ツガ、ヒノキ、ウラジロモミなどの針葉樹は雪に弱いから
・太平洋側のブナは他の針葉樹・広葉樹と混交
・日本のブナ林の特徴
  ササ属を伴う
  常緑性低木群落を伴う(アオキ、ユズリハ、ユキツバキ など)
  ヨーロッパにない落葉性低木群落を伴う(タムシバ→「マグノリアの木」?、クロモジ、マンサクなど)
・ブナの幹は湿気が多い→苔・地衣類 雨が伝って落ちる樹形、樹皮から。
・ブナの実は無毒で美味しい
・豊作は数年おき。野ネズミ対策
・P72ブナヒメシンクイの虫害等の影響と思われる短い周期での豊作は「ブナの気持ち」ではなく、わしは何か科学的な理由があると思う。
・ブナの葉は硬い。セルロースとリグニン。分解されにくい→深い腐食層スポンジ
・ブナの葉を利用するのはタマバエの仲間。虫こぶ形成。25種、観察すると面白い。
・樹齢100~250年が成長カーブの上昇率最高。
・この時期の外敵は1種のみブナアオシャチホコ
・ブナアオシャチホコの天敵はクロカタビロオサムシ、サナギタケ(冬虫夏草)
・枯死はポツポツと単木で立枯れ
・葉を食べるガとチョウの研究から日本のブナの森は世界一であるとの結論
・東北の里山はかってはクリ帯と呼ばれるほどクリが多かった。クリタマバチの虫害によってほとんど枯死。
・野草は原則として毒草
・どんぐりのタンニンは冬を越すと分解→野ネズミが貯蔵
・毒の進化。針葉樹の毒は樹脂とタンニン。広葉樹の毒はサポニン。草本植物の毒はアルカロイド。さらに多様化。
・国有林問題。日本列島森林倍増論。外材依存。
・針葉樹は伐採すると根が腐る
・雑木林の広葉樹は伐採しても切り株から萌芽する木が多い。二次林。
・スギと広葉樹の混交林を作るべき
・森林が生み出す利益のただどり論
・森の公園の意味のない建造物は粗大ゴミ。ハイキングコースを整備すべき。
・ブナの森の再生はかなり困難な取り組み。
・山を放置するから荒れるわけではない。スギを必要以上に保護する下刈りは金食い虫。放置林業のすすめ。

1996年、岩波新書
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by s_space_s | 2011-05-13 15:46 | 読書 | Trackback | Comments(0)
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