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blog版 がおろ亭

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2013年 03月 07日

乗鞍屏風岳西面S字ルンゼ、駒の鞍北ルンゼ滑降

前日のお話

隣でごそごそ音がするので、時間を訊いてみるとすでに5時半であった。
小屋は軒まで雪で埋まっているので、中は真っ暗。
一番心配だった冬期入口の具合をチェックする。
また雪で埋まってしまったらしく、最初は全然動かなかった。

叩いたり、勢いをつけたりして上へ上げようとしていると、徐々に上がってきて頭が通るぐらいになった。
外は雪の壁である。
雪の性質として、動くうちにできるだけ動かしておかないと、圧密されたレール内の雪は急速に固まって完全に動かなくなってしまう。
渾身の力を出して、40cmの隙間を確保することが出来た。
乗鞍屏風岳西面S字ルンゼ、駒の鞍北ルンゼ滑降_e0064783_2120985.jpg

ワンパターンの味噌煮込みうどんの朝飯のあと、脱出作戦開始。
小屋の中に雪を落としながら、掘りすすむ。
昨日掘り下げておいたのがよかったのか、開通は思ったより早かった。
小屋の中の雪を片付けて終了。
乗鞍屏風岳西面S字ルンゼ、駒の鞍北ルンゼ滑降_e0064783_21212144.jpg

外に出るとわりと良い天気。
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尾根の上部は雪煙が上がっていて、厳しそうだ。
ルートは状況をみて判断することにして、とりあえず出発する。
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森林限界を超えるとシュカブラとアイスバーンのミックス斜面となり、とても快適に滑ることはできなさそう。
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唯一、屏風岳の西面にS字を描いて落ちるルンゼには新雪が溜まっていそうに見えた。
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千町尾根から左の沢に入り上部をトラバースしてこのルンゼを滑ることにする。

なかなか良い感じ。
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これは気持ちいい。前方に千町尾根。
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下部の雪原手前は風の影響でパックになりかけの雪で難しかった。
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滑ってきたルンゼを振り返る。
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こう見るとC字ルンゼ?
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シールを付けて千町尾根に戻る。
上部はハードクラストとなりシートラーゲン。
すこし右手に避難小屋。雲海の向こうに遠く白山。
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小屋に戻り、デポした荷物をパッキングしてお昼に出発。
駒の鞍へは50mほどの登りがあるので、シールのまま千町尾根を下る。

駒の鞍手前右に上がっている沢は岩井谷に降りるには良さそうだった。
我々は駒の鞍北面の急な沢を滑ることにする。

出だしは適度な斜度と新雪で快適な滑降。
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かなりsteep!
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ほどほどdeep
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200mほど滑ったあたりで下方の地形に危険な雰囲気を感じた。
近づいてみると、ゴルジュ状に狭くなった下には滝があるようだ。
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左手の小尾根を乗越して巻こうとしたが、雪がかなり不安定で、流されると滝へダイブとなるため、シールを付けてもうすこし上で巻くことにする。

隣の沢の下も壁になっていそうなので、もう一つ左の沢に入り、少し降りてみたところで足下の雪が流れルンゼに落ちそうになる。
いしはらさんにワッチをお願いして、急な雪壁上で苦労してスキーを外しシートラーゲンで戻る。
鹿島の雪壁を登っているようだった。

結果的に隣の沢の雪が繋がっており下ることが出来た。
先ほどのルンゼを覗くと、5mほどの氷瀑があった。
その下も急斜面が暫く続き、やがて沢は広がり緊張感から解放された。

林道跡に出て、素直に林道を辿ればいいものを、ショートカットを試みる。
地図に現れない小沢や小尾根が頻繁に現れ、精神的にも体力的にも非常に疲れるフィニッシュとなった。
昨日モナカだった林道の雪が昨夜の降雪で快適ハイウェイになっていたのが、救いだった。

東海北陸道の渋滞が嫌なのと、久しぶりに峠屋へ寄りたいのとで、国道41号を下道で帰る。


タイム:非難小屋7:40 S字ルンゼ9:50 雪原10:15 非難小屋11:40~12:00 駒の鞍12:40
     林道跡14:30 岩井集落17:00  

by s_space_s | 2013-03-07 12:53 | テレマーク | Comments(2)
Commented by いしはら at 2013-03-07 18:04 x
久々の充実山行で楽しかったです。
盛沢山で勉強になりました。
それにしても寒かったですね。
Commented by s_space_s at 2013-03-09 04:07
いろいろお世話になりました。
こんどは地獄ならぬ極楽ならいいですね。


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