blog版 がおろ亭

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2014年 09月 22日

剱岳八ッ峰Ⅵ峰Dフェース富山大ルート(1P目左バリエーション)

中学のバレーボール部のメンバーで、お互い中年になってから居酒屋「峠」で再開したコウムラと、長年の約束を果たすことができました。
コウムラは、学生時代から社会人山岳会に所属してクライミングを始めましたが、ある事故がきっかけでクライミングを止めていました。
一緒に飲むようになって、いつかまた劔の岩登りに行きたいといつも言ってました。
けど、わしもクライミングに関しては、ほとんど休止状態で、なかなか実現できずにいました。

今年になって何を思ったのか、コウムラが具体的な計画を提案してきたので、その真剣さにわしも久しぶりに登ってみる気になりました。
わしの技術は一昔前のものですが、コウムラの登っていた時代の技術はもっと古く、ダブルロープのロープワークやプロテクションの設置からトレーニングする必要がありました。

金華山や美濃加茂の岩場で何回も練習して、やっと8月上旬に計画した劔岳クライミングは台風の影響で延期になってしまいました。
今回は3日間晴天の予報が出ていて、気分も上々、余裕のクライミングかと思っていました。
しかし、1日目から雨が降ったり、ボケかけた中年おっさんパーティーのこと、色々ハプニングもあり、かえって印象深い山行となりました。

【山域】立山・劔
【場所】剱岳八ッ峰Ⅵ峰Dフェース
【日時】2014年9月13~15日
【コース】室堂~劔沢~長次郎谷~熊ノ岩BC~八ッ峰Ⅵ峰Dフェース富山大ルート(1ピッチ目左バリエーション)~BC~長次郎~室堂
【メンバー】コウムラ、わし
【天気】1日目:曇り夕方雨、2日目:快晴、3日目:曇り

9月13日(土)
バスに弱いコウムラは、当初、扇沢からの入山を希望したのであるが、時間とアルペンルートの料金を考えると立山駅入山のほうがメリットが大きく、立山駅入山に計画を変更した。
コウムラは酔い止めの薬を飲むと歩けなくなると言っていたとおり、雷鳥沢からの登りでふらふらになってしまった。

別山乗越で、熊ノ岩に行くのは無理だと言うので、今日は真砂沢まで行って寝ることにした。
コウムラは途中で酒を仕入れると言っていたのに、御前小屋でも劔沢でもその気配がない。
ふらふらでも、やはり下りは早く、長次郎の出合にお昼過ぎに着いてしまった。

真砂沢で宴会したそうなコウムラであったが、「ゆっくり歩いていれば夕方には熊ノ岩に着く。」となかば強引に長次郎に入っていった。
このころは、まだ晴れ間も覗き、落石だけ注意すれば、雪渓の状態もよい。
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白い花崗岩と雪渓は、バガブーを彷彿させる美しさである。と言ったら劔に失礼か。
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左岸に岩小屋のあるあたりで、雪渓が切れているところがあり、右岸のスラブに移ったり、左岸に再度渡渉したりするも、特に問題なく熊ノ岩に着いた。
コウムラは復活せず遅れているので、テン場の確保と水場の確認などしながら待つ。
既に10張りほどのテントが張ってある。
到着時にぽつぽつ程度だった雨が本降りになる。
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雨の中、コウムラ到着。
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コウムラが新調したエスパースのテントを張り、転がり込む。
やっぱりコウムラは酒類なしだった。
途中で計画変更したので、しかたないか。
可哀そうなので、担いできた発泡酒とバーボンをわけっこする。

ここで、バスの往復切符を失くしたことに気が付く。
どうも、室堂ターミナルでゴミを捨てた時に一緒に捨ててしまったらしい(涙)。

夜半まで雨が続く。
ツエルトでなくて良かった。
明日は壁が乾くまで待機かな。


9月14日(日)
夜明け前、小便に起きると、夜空に月が輝いていた。
水たまりには氷が張っている。
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壁に日が当たって来るまで、テントでのんびりする。
左の三角のフェースがあるのがDフェース。
富山大ルートは三角の右辺の少し上をたどるライン。
最後は日の当たっているリッジに出る。
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まだ、壁に日が当たっていないが、ぼちぼち出発。
取りつきには雪渓を渡って、ガレ場を登るとすぐ到着。
Cフェースとのガリーを少し入ったあたりにアンカーがあり、そこがスタートだと思ったが、コウムラが長次郎右俣に面したところの残置がスタートで間違いないと言うので、そこをスタートととした。

登り始めると、登山靴、ツエルト、水・食糧など担いでいるとはいえ、非常に難しいフリークライミングである。
手持ちの古いトポにはⅣ級・A0となっているが、最近のネット情報ではⅣ級程度との報告が多い。
トポにも被り気味とあったので疑問に感じなかったが、ずっと傾斜が強く、おまけにピンが古いハーケンのみ。
それも、かなり疎らでルートファインディングが難しい。
カムが決まるクラックがほとんどないのもきつかった。
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それでもなんとかフリーで1ピッチ目を登りきる。

この登攀内容について疑問を持ったため、後日、手元にある資料等で検証してみた。

・1979年山渓発行の「剣岳の岩場」の写真解説に掲載の1ピッチ目の写真が上の写真と全く異なる。
・同ガイドの解説でも富山大ルートのスタートはCフェースとの中間ルンゼに少し入ったところという記述がある。
・同ガイドは登山靴で登る前提で解説されているが、A0したとしても登山靴では極度に難しく、Ⅳ級とは思えず、A0の連続で登れるほどハーケンの残置がない。
・このあたりでガイドをしているワルテル氏に訊いてみると、氏もこのラインと思われるルートに取りついたことがあり、お客をリードして登るにはリスクがありすぎるので、途中から下降し、久留米大ルート方面から富山大に繋げたとのこと。
・ネットの記録でも富山大ルートよりも左手に紛らわしいラインがあり、取りつくも途中で諦めて下降したというものがあった。

結論としては、単なるスタートポイントの間違いで、三角フェース側の傾斜の強い部分を登ってしまったようである。
クライミングとしては非常に面白いラインだと思う。
グレードはよくわからないがⅤ級+ぐらいか。

憶えのルート図(クリックしてね)
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てなこともあり、1ピッチ目をフォローしてきたコウムラは、またもふらふら状態になってしまった。
ツルベで登る予定なので、コウムラにリードを交代したが、2ピッチ目は傾斜はないものの残置が少なく、確実なルートファインディングとクライミングが必要と思われた。
2P目スタート時点で迷いがありそうなコウムラの登りに不安を感じたので、申し訳ないがリードを交代してもらった。
以後、わしが全ピッチリード。

2ピッチ目
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3ピッチ目
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4ピッチ目の快適なリッジ
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4ピッチ目上部
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最終ピッチをフォローするわし。
バックに熊ノ岩のテントサイト。
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Dフェースの頭で大休止のあと、5・6のコル経由で長次郎雪渓に下降する。
まだ、お昼なのでCフェースを登る時間はある。
コウムラはCフェースを登りたがっていたので確認すると、ツルベで登る自信がないので次の機会にしたいとの返事。

Dフェースを振り返る
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熊ノ岩に戻って、残り少ない酒をちびちびやりながらのんびりする。
ここで、コウムラが自分もバスの切符が見つからないと騒ぎ出す。
(幸い、後になって地図の間から出てきた。)

クライマーの天国。Dフェースをバックに。
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八ッ峰Ⅴ峰のニードルとⅥ峰A・Bフェース
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夜、目を覚ますと、コウムラが煙草を吸っていた。
漂ってくる煙の匂い。
コウムラは今、何を考えているのだろうと思ったりするのであった。


9月15日(月)
翌朝、出発の準備をしていたら朝焼けをバックに八ッ峰のシルエット。
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熊ノ岩からテントを飛ばされたパーティーがあった。
テントは雪渓まで落ちてきてきちんと立っていた。
(人物の右上。白いテントなので見にくい。)

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中間部のガレ場
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長次郎雪渓は朝一でカチカチ。
軽アイゼンでは厳しそうだった。
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昨日、少しでも軽量化するためザックのフレームを外した。
それを再度ザックにセットしたのであるが、前後ろを逆にしたらしく、変なところが当たって非常に背負いにくい。
コウムラとは登っているうちに離れてしまい、後は淡々と歩くのみ。

室堂乗越から振り返る劔。
次はCフェースから本峰まで行ってみたい。
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御前小屋から剣山荘方面へ向かうハイマツ帯に大きなツキノワグマが入り込んでいると警備隊のお兄さんが監視していた。
雷鳥沢への下りでコウムラの後ろに付いて歩いていたら、山ガールを追い越したところで何故かスリップ。
(ホントは、邪念をおこしたから。)

室堂に戻ると草紅葉が始まっていた。
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みくりが池温泉でコウムラがビールをおごってくれた。







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by s_space_s | 2014-09-22 22:04 | クライミング | Trackback | Comments(0)
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