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blog版 がおろ亭

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2008年 04月 05日

ひかりごけ

最近「恐ろしい話」という本を読んでいます。
その最後に武田泰淳の「ひかりごけ」という北海道の羅臼の話が載っていました。
昔、自転車で羅臼あたりを走った記憶が蘇ってきました。

この短編集は、「ちくま文学の森7」和洋古今の恐ろしい話が25編。
恐ろしいと言っても、ほんとにゾッとする話は日本の小説、志賀直哉の「剃刀」ぐらいしかありません。
床屋にいけなくなりますよ。
食堂の本棚にあったので読んでみましたが、これはまえに読んだことある本みたいです(よくあることです)。

「ひかりごけ」も何回か読んだことがあります。
が、今回読んでみて今までのイメージと違ったテーマを感じました。

カニバリズム(人食い)は恐ろしいこと。
食いたいと思ったときその人の背後でひかりごけが怪しく(神々しく)輝くというのがこの話の味噌だと思っていました。

最後、文字どおり人を喰った船長が裁判にかけられます。
そこを読んでて、人は誰でも他人を食って生きていているような気がしました。
もちろん人間は他の生き物を食わないと生きていかれません。
では、人肉はどうか。
種の保存のためか、社会学的な目的のためか、人肉を食うことは恐ろしい、生理的に忌まわしいことだとわしは感じます。
皆さんもそうでしょう。

けど、食うことと他人と競争して蹴落としてまで、よりよい生活を求めることとどこが違うのか。
生まれた人間がすべて幸せに人生をまっとうできるような社会は幻想です。
みんな競争して生きている。

船長は極限の体験をした人間として「我慢」するしかないことを語っています。

by s_space_s | 2008-04-05 15:32 | 読書 | Comments(2)
Commented by ワルテル at 2008-04-06 20:53 x
ひかりごけは光善寺の石垣と笠置山の頂上の話かと思ってたら怖い話なんですね。光善寺の早太郎の伝説は感動的ですが、怖い話は夜のトイレに困るので、決心がついたら読んでみよ。がおろさんには、前と同じアドレスでメール届きますか?
Commented by gaoro at 2008-04-06 23:09 x
yahooのほうも極地研究所のほうも変わっていないです。


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