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2008年 07月 29日

ブリに捉まる

7月22日から25日の予定で大陸の露岩、昭和基地から南へ40kmほどのラングホブデへ行ってきました。
目的は極夜前にルートを設定した続きをルート工作して、前線基地となる雪鳥小屋までのルートを作ること、雪鳥小屋周辺のGPS観測、地震計保守でした。

当初からあまりいい天気は期待できないような予報だったのですが、最終日25日の帰路の途中でブリザードに捉まり、行動不能になりました。
最近の観測隊の方針では海氷上でビバークすることはできるだけ避けることになっています。
ブリザードのときは気温上昇、気圧低下、強風で海氷が割れる危険が高いからです。

A兄リーダーのリーダーシップと基地からのサポートによって、一晩のビヴァークだけで基地に帰ることができました。
いい経験になりました。

1日目
氷山を横目に見ながらルート工作開始。
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海氷は概ね安定、氷厚も1m以上あり、ルート工作は順調に進みました。
長頭山から南に続く山なみ
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雪鳥小屋はこんな感じ。
発電機、石油ストーブ、2段ベッド、暖かい布団、豊富な食料、お酒となんでも揃っている快適な小屋です。
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既にご機嫌みたいです
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仕事の合間に周辺の散策もしました。
このあたりで幾つか見かけた海氷の盛り上がり。
まるでイグルーみたいで不思議でした。
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厳しい厳冬期の風景です
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夏に入れなかったやつで沢のゴルジュは氷って完全遡行できました。
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25日は早めに起きて、ブリの予報は出ていましたが、悪くなる前に昭和基地に着けると判断し小屋を立ち下げて出発しました。
長頭山を見ると雪煙が上がっていました。
これはブリの前兆だったのです。
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あっという間に吹雪の中
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シュプールも旗竿も追えなくなり、行動不能に。
ホワイトアウトになると方向感覚、スピード感覚、平衡感覚すべておかしくなります。
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ルート沿いにある小島オングルガルテンへの上陸も検討しましたが、視程がほとんどないのと、付近に氷山がある可能性があったので諦めて、ルート上で停滞することにしました。
ビバークと決まったら、暖かいものを摂って寝るしかない。
1斗缶に詰めた数日分の車載非常食があるので、食べるものには困りませんでした。
トイレの問題が一番悩ましかったです。
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雪上車内を整理してスペースを作り、非常用に持ってきたシュラフで寝ました。
秒速30mを超える強風に重い雪上車でも軽自動車のように一晩中揺れていました。
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翌朝、周りの海氷をチェックして、クラックや沈降の兆しがなかったのでほっとしました。

お昼に、A兄が視程のある一瞬のチャンスをつかみ移動開始の決断をしました。
地吹雪のときは車高が高いSM40のほうが有利ということで、SM40ナビで進みます。
わしはSM30で後続しましたが、40の牽いている橇の赤旗を追うだけで精一杯。
2時半には日没。
昭和基地近くでさらに視程が悪化。
車外に出てシュプールを探しながら少しずつ前進。
基地からはAガイドらがサポートに出てくれて、ライトで誘導されながら上陸。
装備も雪上車に残したまま、全員ロープに摑まってはぐれないようにしながら転がり込むように昭和基地にたどり着きました。
風上に雪上車の尻を向けたままにしたので雪が吹き込み後から大変でした。
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ほっとして気が抜けたのか、その晩のバーでは酒が回るのが早いこと早いこと・・・
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by s_space_s | 2008-07-29 01:54 | 南極 | Trackback | Comments(0)
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