2008年 11月 28日

第1回ペンギンセンサス旅行(3~5日目)

続きです。
1、2日目

3日目 曇
スカルブスネスきざはし浜小屋~イットレホブデホルメン調査~ラングホブデ雪鳥沢小屋

イットレには2か所ルッカリーがあって、1か所は上陸地点からすぐ近くだけど100羽ぐらいと比較的数が多いところ。
もう1か所は、今年の状況ではいないかもしれないけど、かなり歩いて探さなければならないところです。
2班に分かれて調査をしました。
わしは当然歩くほう。U隊員、O観測主任も一緒です。
最初、少し見当違いの場所を探していましたが、海岸線に沿って、地図にマーキングがある場所まで来ても、ペンギンはもちろん、営巣できそうな場所さえありません。

諦めて帰ろうと思ったとき、振り返ると岩棚の上の白と黒の影が目に入りました。
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そこには3羽のペンギンと2個の巣がありました。
小石もほとんどない岩盤ですがちゃんと小石を集めて巣を作っていました。
2羽はペアで、もう1羽はオス。
三角関係ということはないでしょうから、シングルのオスは新しいメスが来るのを待っているのでしょう。
U隊員も言ってたけど、大きなルッカリーより、こういう寂しげなルッカリーが心に残ります。
マイナー志向なのかな?
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上陸地点に戻る途中で何か生き物に見える石を発見
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大きいほうのルッカリーも話を聞くと面白かったみたいです。
ペンギンが多いのに小石が少ないそのルッカリーでは、小石の奪い合いは日常茶飯事。
メンバーが小石を与えると、たくさんのペンギンが寄って来て自分の巣に運んだそうです。
小石を取りに来ても、強いペンギンが来ると、関心がないようなふりをして通り過ぎ、強いのがいなくなると戻ってきて石を持って行く面白い行動をするやつもいたそうです。

他人の巣から小石を失敬するちゃっかり者は他のルッカリーでもよく見ます。
氷のかけらを集めて巣にしているやつもいたそうです。
メスの関心を引くためでしょうか。そりゃ結婚詐欺だろー!

4日目 曇のち晴
ラングホブデ雪鳥沢小屋ベース、水くぐり浦、袋浦、ぬるめ池調査

水くぐり浦は大きなルッカリーで700羽以上のペンギンがいました。
全体を見渡せるところから、カウンターをかちゃかちゃと押して数えます。
少し目を離すと、どこまでがカウント済みなのかわからなくなってしまいます。
最終的には開き直って、目線の移動するスピードとカウンターを押すスピードをなんとなく同調させる感じで数えました。
他のメンバーもだいたいそんな感じだったと思いますが、答え合わせをしてみると、近い数字が出ていて面白かった。
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自然の厳しさ
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陸に近い海氷はすでに緩んで、シャーベット状になっていました。
はまらないよう要注意。
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水くぐり浦ルッカリー全景
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次は袋浦へ雪上車で移動しました。
ここは350羽ほど。

ここで、腕にタグを付けたペンギン発見。
右の大きいメスがそうです。
あとで、U隊員が確認したところによると、13年前に37次隊によって付けられたフリッパーバンドという標識なのだそうです。
ペンギンにしてはかなり長生き。
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この古女房の若い旦那は、隣の風采の上がらないオスの巣から、我が物顔で小石をとっては、かみさんにプレゼントしていました。
隣のオスは諦めきったようすで、わざわざ取りやすいように石を差し出したりして・・・。
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袋浦の調査を終了し、2kmほど離れたぬるめ池へ行きました。
海氷上を歩き湾を横断すれば早いのですが、岬にそって陸を歩いて行ったら、予想よりかなり厳しい地形でアップダウンも多くしんどかった。
途中、甲斐駒を思わせる白い岩のピークがあり、いい景色でした。
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1時間半ほどでぬるめ池に着きました。
ここにはペンギンが来た形跡はありませんでした。
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帰りは海の上を歩いて袋浦の雪上車に戻りました。
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雪鳥沢小屋はきざはし浜小屋よりかなり古くて小さい小屋です。
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夕方、近くのやつで沢の凍った滑滝でそうめん(正確には稲庭うどん)流しをしました。
最初は溝を掘ってお湯で流してみましたが、氷に穴があいてお湯がしみ込んでしまい、うどんがうまく流れません。
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今度は氷の表面を流してみました。
うどんがうまく流れて食べることができました。
「表面流し」とかおやじギャグ言ってるのは誰だ?
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5日目(最終日) 晴
ラングホブデ雪鳥沢小屋~シガーレン、ルンパ、まめ島調査~昭和基地

最終日、小屋を出た直後は大陸から吹き下ろすカタバ風が強く、スノモの橇が凧のようにスノモより先に流れていくので走りにくかった。
右手のどっしりした山がかんむり山。
左手のツインピークはAガイドと登る計画をしている二子山(通称おっぱい山)です。
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晴れた空にハムナ氷瀑(雪上車の右手奥)が映えて美しい景色です。
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シガーレンの新しいルッカリーは時間短縮のためHドクとわしだけでスノモでアプローチして確認しました。
11羽のペンギンが営巣するこじんまりしたきれいなルッカリーでした。
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次はこのあたりで最大のルッカリー、ルンパ。
島の中で3か所にルッカリーが分かれていて、これは一番小さなルンパB、約100羽。
数えているのは、今回の調査責任者Hドク。
南極温倶留診療所のドクター兼南極気象台勤務です。
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ここがルンパC、約1600羽。
とてもカウンターでは数えきれないので、写真カウントでした。
例年だと3000羽ほど集まるそうです。
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今回最後のルッカリー、まめ島、約460羽。
ここで、今回の旅行を通してペンギンの数を記録していた用紙の紛失に気がつきました。
ショックー!あの苦労はなんだったのか?落ち込みました。
時間が押してきていたので、気を取り直しさっと数えて引き揚げました
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昭和基地には夕方5時過ぎに着き、片付けの途中で夕食の時間になってしまいました。

片付けしているときにⅠ隊員が橇の中にわしの記録用紙発見。
うれしかった~。
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by s_space_s | 2008-11-28 01:05 | 南極 | Trackback | Comments(2)
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Commented by ワルテル at 2008-12-02 00:37 x
ペンギンが巣を作るための石を必死で集める話は、テレビでみたことがあるよ。もう連れあいがいるメスのペンギンが、若いオスに思わせぶりな態度で石を貢がせているシーンもあった。そんな厳しい世間なら、がんをくれて走り去る奴がいるのも当然か。うーむ。
 昨日まで西伊豆、海金剛の岩場に行ってました。荒波の海と山以外があるだけで人工物がほとんど目に入らない、ワイルドな景色のなかで、強風に体をひきはがされそうになりながらのクライミングは心底「よかった」です。はじめてタクラマカン砂漠の端っこに行った時に感じた、「なんにもない。」という感覚がよみがえりました。南極もやぱりからっぽな感じがするんでしょか。それとも、まっしろけでも、ペンギンやアザラシに強烈な生命を感じたりするんでしょか。
んー、マンダム。
Commented by gaoro at 2008-12-02 11:36 x
見渡す限り雪と氷以外なんにもない内陸を雪上車で走っていると、頭がからっぽになるような気がします。
岩山や氷山、氷河があったり、ペンギン、アザラシ、トウガモなどがいる沿岸では、からっぽではなくて心が満たされる感じです。
んー、メンタム。

昨日、2回目のペンギンセンサス旅行から帰ってきました。
ルッカリーの雰囲気も前回と大きく違っていました。
最終日、ちょっと風が吹いてスノモを1日走らせるのはきつかったです。雪上車を使った海氷上の旅行は49次ではこれが最後になります。
大きな事故もなく終わったことが一番うれしいです。


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