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blog版 がおろ亭

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2009年 12月 02日

ABOUT SCHMIDT

ジャック・ニコルソンが、保険会社を定年退職し、しばらくして妻にも先立たれ最愛の娘がアホと結婚してしまい、生甲斐をなくし、自分の人生は何の役にも立っていないと嘆く初老の男シュミットをうまく演じていて、退屈しない映画だった。

シュミットは結局、自分はの人生はなにも残さなかったし、役にも立たなかったという諦めの心境になったところで、アフリカの少年から送られた素朴な絵を見て涙するところで終る。
いろいろ見方はあると思うが、なにかの役に立たないと人生には意味がないと言っている映画だとは思いたくない。
人は生きているだけで意味があるから。
アホの娘婿のほうが幸せだと思ってしまうのは、わしの見方がおかしいからであろうか。

退職してから(たぶんする前から)誰とも良好な人間関係を築くことができなかった男は、妻の死後、確かに何かを学んでいっているようにも見える。
それは諦めることであったり、人を許して折り合いを付けていくことであったり。
けれども決定的な変化は描かれていない。

トレーラーや広告で涙のラストシーンが強調されているけど、20ドルそこそこの寄付でアフリカの子供を養子にして、絵をもらって泣いた意味は、はっきりしない。
自分も誰かの役に立てたという感激?
絵を描いてくれた子供の真心に打たれた?
誰かと人間らしい関係を持てたことへの感動?
自分の人生に対する後悔と泣くことによるカタルシス?

生身の人間との関係ではなくて、バーチャルな関係に由来する安っぽい魂の浄化で終わるより、最後はそのまま死んでいったほうが心に残る、あるいは引っかかる映画になったのではないだろうか。

ジャック・ニコルソンは好きな俳優だし、ロードムービーも大好きなので、許せる作品ではある。

2003年 アメリカ映画 アレクサンダー・ペイン監督

by s_space_s | 2009-12-02 23:26 | 映画 | Comments(2)
Commented by s_space_s at 2009-12-05 12:13
勘違いしていたのですが、シュミットが寄付していたのは月々22ドルでした。
金額の多寡の問題ではないけど、寄付もしていない自分にはシュミットにとやかく言う資格はないと思いました。
Commented by faggio at 2009-12-06 04:31
夕べは飲みすぎて外に出る気にならなかったのでホテルルワンダという借りてきた映画をぼけっと見てました。
この映画見てないですが娘婿のほうが幸せだというのはなんとなく想像がつくような。
蜘蛛の糸のようにお釈迦様が全ての行いを見ていてくれて、死んだ後にそれぞれ裁いてくれていいのですが、シュミットもアホ婿もわしも生きてる自分を大局的にか客観的にか省みるのはなかなか難しいです。


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