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2011年 07月 30日

Timbuktu

数週間前に読み始めた本書、酒が入ると2~3ページで寝てしまう毎日。
一応読了したが、一つの物語としてぐっと迫るものがなかった。
天気もいい休日、半日かけてもう一度通しで読んでみた。

酔いどれホームレス詩人ウィリー・クリスマスの相棒(愛犬)ミスター・ボーンズのモノローグで進行する物語。

「二足す二は四だなんて言わないでくれよ」
「二は二だってどうしてわかる?真の問題はそこだよ」

こんなことを考えている主人を直感的に理解できるのはミスター・ボーンズだけ。
サンタクロースの普遍的な愛を世界に広めるのが自分の生きる使命だと啓示を受けたウィリーは、最後までしがない無名の放浪詩人であり、いくつか紹介されている詩もあまりいい出来とは言えない。
たまに霊感がやって来るときもあるけど、概ね世間から理解されることなく、肺癌に冒され旅先のボルチモアの路上で倒れてしまう。

後半は主人と別れたボーンズの数ヶ月が描かれる。
何人か新しいご主人になりそうな人間が出てくるけど、結局、ボーンズの望みはティンブクトゥ(天国)でウィリーと暮らすことだった。

最後、僅かに残った生きる力で「車よけ」ゲームに挑むボーンズ。
オースターらしいラストだ。

ボーンズとウィリーはティンブクトゥで会うことができたのか。
わしにはそんな世界があるとは思えないし、オースターもボーンズの夢として描いているだけで、あるともないとも言っていない。
ここで重要なのは、ウィリーと分かれてもボーンズの中に主人が生きていたと言うこと、死後の世界を考えることで、今を生きる力を得ることができることもあるという事実である。

1999年 ポール・オースター著 柴田元幸訳 新潮文庫 

by s_space_s | 2011-07-30 23:00 | 読書 | Comments(0)


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