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blog版 がおろ亭

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2012年 07月 25日

曽我蕭白「雲龍図」

名古屋ボストン美術館で開催されている「ボストン美術館 日本美術の至宝」展へ行ってきました。

日曜日の朝10時前に美術館に着いたら,行列が出来ていたのでびっくりしました。
美術に関心のある方が沢山みえるのですね。

特にお目当ての作品はありませんでしたが,やはり曽我蕭白の大きな龍は目玉の展示でした。
(文字どおり目玉がすごい)
ネットなどで写真を見たときは,漫画みたいなキャラクターだけが印象に残りました。
実際に見てみると,極太の筆で一気に描かれた勢いがガンガン伝わってきます。
まず,大広間いっぱいぐらいの幅がある絵の大きさに圧倒されます。

近くに寄ってみると墨の濃淡が生き物のようで,下の写真では「丸書いてちょん」みたいな双眼も直に観ると印象が全然違いました。

曽我蕭白「雲龍図」_e0064783_12442171.jpg曽我蕭白「雲龍図」_e0064783_12443323.jpg


その他,気に入った作品は・・・。

土佐光起の「王昭君図」:細密画のよう。雲龍図と対極のような作品ですが,こういうのも好きです。

狩野元信の「白衣観音図」:観音様のお顔の繊細さ,白衣のタッチのダイナミックさ。

蕭白の「酔李白図屏風」:酔った李白の顔が開高健みたいでユーモラス。

伝狩野雅楽助筆の「松に麝香猫図屏風」:麝香猫はハクビシンの仲間ですが、ここでは人面のような不思議な雰囲気の動物として佇んでいます。

・・・などなど,何時間でも飽きずに観ていられる展覧会でした。


当時の日本人が軽視し,保存状態も良くなかった作品(廃仏毀釈で廃棄されそうな物もあった)をコレクションとして保管して今に伝えてくれたフェノロサや岡倉天心に感謝したいと思います。
また,ここに里帰りした作品以外にも、破壊されたり、朽ち果ててしまった作品がたくさんあったはずです。
美術作品や文化財を保存・記録する努力は,どれだけやってもそれでいいというゴールがない営みです。
探せば探すほど価値ある作品は出てくるものだし,一方,物は必ず朽ちていくものだから。

わしとしては,これらの至宝を直に観られる幸運を,ただ慶ぼうと思います。

by s_space_s | 2012-07-25 12:56 | 日常 | Comments(0)


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