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2013年 03月 28日

くっすん大黒

「くっすん大黒」は町田康のデビュー作。
くっすん大黒_e0064783_20404530.jpg


この文庫本には表題作のほか「河原のアパラ」が納められている。
上昇志向はまったくと言っていいほどなく、両作品とも「下降への意志」※が強烈。
こういう話は大好きなので、おばちゃん、どんどん持ってきて!って感じ。

「くっすん大黒」の主人公は、アル中(とまで行かないかも)で女房に逃げられた楠木(くっすん)。
家に転がってござった大黒様の佇まいに腹が立ち、捨てようとしたが捨てきれず、相棒に押しつける。
後半、「蛸」芸術家の記録映画にインタヴュアーとして出演することになる。
相棒と撮影旅行に同行するも最後はどたばた。

話の筋はいいかげん、主人公の性格もいいかげん(偏執的な部分はある)。
けど、時たまハッとするようなイメージが描かれる。
また、主人公と相棒のやりとりにはユーモアとペーソスが漂う。

相棒がギターで弾くジミヘンの曲は「コッケコッケコッケコッケ、コカカカーカコカカー」
これって「紫の煙」のイントロって書いてあるが、違うよな~。

最後に楠木は、「自分は豆屋になろう」と考える。
落語で笑いものになる、あの豆屋にである。


「河原のアパラ」では、うどん屋のアルバイトから始まり、最後は遺骨配達人になってしまう。
こちらも主人公とその相棒が出てきて、「くっすん」と同じ空気をさらに濃縮したような世界が描かれる。

ケンタッキーでフォーク並びをしない客たちの態度に憤慨と戸惑いを覚える主人公。
そのストレスに耐えきれなくなった彼は、「やっほー、ほーとランランラン」と歌い出してしまう。
わしは、今まで「ホトラララ」かと思っていたので、ランランランとは意外だった。
この歌詞自体が意味不明なだけに、歌が止まらなくなる主人公の状況は悪夢。やほほ。

話は、このような状況になった説明という形で進められる。

顔にらく書きのような入れ墨を入れられ自殺に追い込まれたうえ、死んだ後もお骨をホルモンに振りかけられてしまう男がいる。
この2人は「やばい」と感じるだけ。
まあ、そういうこともあるだろうと、この男の遺骨配達に「いいかげん」に専念する。

「アパラ」って、河原の犬でもペットにする話かと想像していたが、読んでみたらオペラの英語発音。
河原で撮影される不条理なオペラを観て、笑いが止まらなくなってしまった2人。
救いようのない脳天気さが、やがてペーソスに変質していくのであった。やほほ。


町田康の世界にもっと浸っていたくなり、850ページの分厚さに惹かれ「告白」を古書店で購入。
読み始めた。


※ドゥマゴ文学賞選者 筒井康隆 選評

by s_space_s | 2013-03-28 22:34 | 読書 | Comments(0)


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