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2013年 04月 23日

告白

見よこの厚さ。
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町田康のこの小説は河内音頭のスタンダードナンバー「河内十人斬り」のエピソードを基に書かれたものである

熊太郎は幼いときから自分の思考と口から出てくる言葉にギャップがあることに違和感を感じていた。
ある言葉を発するのに、そう言ったら相手がどう考える?その言葉を発する自分の本質は何?
そんなことを思い巡らすうちにコミュニケーションとしての言葉は意味のない奇妙なものに変質してしまうのであった。
例えば女に声をかけようとして、出てくる言葉が「空からにゅうめんが降って来てぴゃあ」みたいなナンセンスな台詞になってしまう。
そのプロセスが何度も毎回1ページ以上を費やして説明される。

わしも、言葉を発する前に次の一手を考えてしまい、結果的に何も言わないということがよくある。
なにも考えずに話せる人が羨ましいと思うときもある。
熊太郎にも思考と言葉が一致することがあって、そんなときは「あっ、俺、なんかいけてる」と感じるのであるが、そうなった瞬間、自分は滅亡してしまうという予感が熊太郎にはあった。

最愛の弟分弥五郎に、考えていることを嘘偽りなく告白した(しようとした)熊太郎は、その予感どおりの最後を遂げることになる。
わしにはうまく説明できないけど、そこには哲学的、宗教的な主題が隠されているように感じた。


小説の中のワンシーン。
熊太郎が見初めたお富に祭りの踊りの輪の中で近づこうとする。
村の踊り好きなおっちゃんが熊太郎にセッションを仕掛けられたと勘違いして、二人が地面すれすれに腰を落としながらやり取りする。
ここが、一番好きな場面です。



そして祭りの後の寂しさが・・・。

by s_space_s | 2013-04-23 23:36 | 読書 | Comments(0)


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