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2014年 03月 03日

Slightly Out of Focus

土曜日は新しいラインで御嶽へテレマークに行く予定でしたが、天気が微妙と言うことで延期にしました。
いつも、酒を飲んでから寝床で読み出しても半ページほどで寝てしまい、ちっとも読めなかったロバート・キャパの「ちょっとピンぼけ」を本腰を入れて読み終えました。

第二次世界大戦のヨーロッパ戦線へ最前線部隊と同行し、報道写真家として記録写真を撮るお話です。
兵士や一般市民の死、負傷、兵士がストレスに耐えきれず嘔吐する場面などリアルな戦争の描写があります。
自分自身も生死にかかわるリスクを負いながらの活動なのですが、その記述にはある種のユーモアがあって軽妙な感じさえします。
キャパの人なつこいキャラクターが表れていると感じました。
酒の話もいっぱい出てきます。
戦場で人と仲良くなるには酒と賭け事が欠かせないようです。

しかし、ノルマンディー上陸作戦で一番手に突撃する漕艇部隊として前線に投入されたキャパの記述には、それまでのような人を食ったような余裕は微塵もありません。
実弾と恐怖が何度もキャパを襲い、フィルムを入れる手も震えていうことをききません。
結局、キャパは安全な場所まで戻ったところで失神してしまいます。
気が付くと、ベッドの横にもう一人、失神して戦線から離脱した若い男が寝ていました。
彼は上陸作戦の先発部隊に加わった10台の水陸両用戦車中で唯一の生存者でした。

―― 船はエンジンの響きを立てて英国に向けて帰路についた。夜どおし、水陸両用戦車から逃げてきたその男と私は、おたがいに胸を叩いて―お前は何の恥ずるところもない、俺のほうこそ、もっと臆病なのだ、といいあったのであった。 ――

何故だかわかりませんが、目頭に熱いものがこみあげてきて、しばらくは読み進めることができませんでした。

Slightly Out of Focus_e0064783_11033764.jpg
この作戦でキャパが撮影した写真は106枚ありましたが、その後、キャパの助手が行った現像作業の失敗で8枚しか残りませんでした。
それも手が震えていたので「ちょっとピンぼけ」のばかり。

あと、恋人ピンキィとのエピソードもいい感じです。
男くさい戦場の話に色を添えています。

ロバート・キャパ著、川添 浩史・井上 清一訳
文春文庫






by s_space_s | 2014-03-03 22:11 | 読書 | Comments(2)
Commented by ワルテル at 2014-03-04 00:07 x
映画「プライベートライアン」の冒頭の20分を思い出しました。
強烈なショックを受けた映画でした。
なぜかついでに、「ほたるの墓」で子供が駅の構内で
妹の遺灰が入ったドロップの缶を抱いて飢え死にし
ていくラストシーンも思い出しました。
一緒にに見ていた母が、ぽつりと言った
「みんな、あんなもんだった」
と言う生々しい言葉に、一人の主人公の悲劇なんかでは
ない、珍しくもないことだったのだと思い知らされ、
さらに救いのない悲しいショックを味わったことも思い出
しました。
 おお、珍しく湿っぽく重いコメントになりました。

Commented by s_space_s at 2014-03-04 18:03
「プライベートライアン」の戦闘シーンは、血肉が飛び散るような激しい描写だと聞いたことがあります。
そのような状況でどのように振る舞えるかは個々の人間の生き方として重要なことだと思いますが、そんな状況が珍しくもない社会ってどうなのよと思います。


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