blog版 がおろ亭

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2014年 09月 28日

ビルマの竪琴

終戦間もない昭和23年、ドイツ文学者の竹山道雄によって少年少女向けの連載小説として書かれたもの。
児童文学なので読みやすく、風邪で家にいた日曜日の半日で読めてしまった。
竹山自身ビルマには行ったことはなく、当初は中国を舞台にした話として構想していたようだ。
当時のこと、外国の情報が簡単に手に入る状況でもないし、実際にビルマから引き揚げてきた兵士からもネタになるような取材はできなかったようだ。
なので、竹山は、あとがきで、この物語は空想の産物だと言っている。

戦場における音楽の力、自然と宗教に生きるビルマの文化(近代文明との対比として)、庶民として死んでいった兵士たちの鎮魂といったテーマがあり、物語はそれが分かりやすいように非常にシンプルな構成で書かれている。
侵略された側の視点が抜け落ちているという批判はあるようだが。

幾つか興味深い記述もあった。

ミャンマーの北部はヒマラヤ山脈の東端に位置している。
岐阜大学の2012年1月の遠征もあって、ジャングルに住む村人たちのヒマラヤの歌の話は面白いと思った。

主人公水島が肥らされて食べられそうになった部族はカチン族となっている。
儀式としての食人ならありそうな気がするが、この表記は当のカチン族から抗議があり、改訂版では「蛮族」とされている。
このあたりの詳細については、「カチン族の首かご : 人喰人種の王様となった日本兵の記録」(1957年、妹尾隆彦著)が面白そうなので図書館で探してみたい。

新潮文庫




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by s_space_s | 2014-09-28 16:32 | 読書 | Comments(0)


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