2018年 10月 23日
【場所】笠ヶ岳、穴毛谷 【日時】2018年10月20日(土)、21日(日) 【コース】1日目:新穂高温泉~穴毛谷~四ノ沢出合上流(BC)~穴毛岩左岩稜試登~BC 2日目:BC~穴毛尾根(仮)~穴毛岩ピーク~穴毛橋(仮)~BC~新穂高 【メンバー】いしはらさん、わし(岐阜テレマーク倶楽部) 【天気】1日目:曇りのち雨 2日目:晴れ ルート図(クリックしてね) わしも過去に何回か見たはずですが、登攀の対象と考えたことは1回もありませんでした。 この岩場を登ってみたいと思ったきっかけは、ネットに出ていた、ある穴毛岩の写真でした。 ただの洞窟だと思っていた穴が、実はアーチ橋のような構造になっています。 で、そこを渡ってみたら面白いような気がしたのです。 こんな下らないうえに危なそうな計画に同行をお願いできるのはイシハラさんしかいません。 昨年もイシハラさんと右の岩稜から試登しましたが、脆いセクションが突破できず敗退しました。 今回は傾斜は強いけど、灌木の生えたテラスで繋げそうな左岩稜を目指しました。 (1日目) 左俣林道経由で上部堰堤下まで歩く。 昨年より明らかに水量が少なく、徒渉に悩む場面はほとんどない。 四ノ沢出合の少し上流に快適そうな一枚岩のテラスがあり、キャンプサイトとする。 登攀具と少しの行動食だけ持って岩場に向かう。 穴毛岩下の不安定なガレ場を登っていると、なにやらぽつぽつ降ってきた。 まずは左岩稜末端のすっきりとしたコーナーに取り付いた。 イシハラさんリード。 岩にはクラックもあり思ったより登りごたえがありそう。 見えていたブッシュ帯に這い上がってから、動きが止まった。 テラスかと思っていた部分は、まだ悪い草付きがあって、それがドロドロで突っ込めないようだ。 テンションで一回もどって出直すことになった。 コーナー左にも別のクラックシステムがあり、こちらからなら左上のハイマツ帯に入れそうに見える。 取付きから少し離れて、上部を観察するが、行ってみないと分からない感じ。 傾斜の緩く見えるところは悪い草付きの可能性が高い。 そうこうしてるうちに雨が本降りになってきた。 BCに戻り、まずはツエルトを張る。 雨の中でたき火にトライする。 本降りの雨に結局あきらめ、雨漏りがするツエルトの中で、ちびちび酒を飲み始めた。 まだ、夕飯には早すぎるし、間が持たないので、上流にある大岩の陰でたき火に再挑戦する。 ダケカンバの皮はもちろん、新聞紙、テーピングテープ、最後にはガスコンロも導入しやっと火が付いた。 まっちゃんなら、こんな状況でも樺の皮だけで熾すのだろう。 火があるのはありがたい 明日は晴れの予報だ (2日目) 安物の時計の電池がなくなり時間がわからないけど、外が明るくなったみたい。 ツエルトには少し霜が降りていた。 あんなにべたべたに濡れていた岩も乾いているのに驚いた。 でも、左岩稜は日陰のため元々湿っぽいので、乾くのも遅いはず。 スラブの上で朝日が当たるのを待ちながら、のんびりドリップコーヒーなど飲む。 気分はヨセミテクライマー? ガスコンロの火力が弱く、すがきやの味噌煮込みが作れないので、また、たき火を熾した。 ある程度、生活用品を片付けて、また岩場に向かう 予想どおり、クラックは濡れたまま。 草付きも多分、濡れたら余計に悪くなるだろう。 相談の結果、穴毛岩の後ろに続くであろう尾根に這い上がり、穴毛のピークを目指すという計画に変更。 イシハラさんは寡黙なので真意は分からなかったが、わしとしては何としても、あの穴の真髄に触れてみたかった。 穴毛岩左の沢をどんどこ登り、尾根に這い上がれそうなとこを探す。 かなり登ったところに白い階段状のカレ滝があり、これを登れば尾根の灌木帯にはいれそうだ。 しかし取付いてみると脆くて逆層。泣きが入る。 ササの茂みに入ってほっとする。 尾根に出るまでは割と登りやすい。 尾根に出てから地形がはっきりせず方向が分からなくなる。 対岸に見える四ノ沢を目標にハイマツとシャクナゲの急な尾根を下って行った。 下方に小さなピークが見えてきた。 小ギャップを経てピークに到着! あとは、あのアーチ橋を渡るのみ。 イシハラさんにビレーをお願いして、急なブッシュを降りていくと、断崖に付き合った。 なんと!さっきのピークは大ギャップを挟んだ1つ後方のピークで、懸垂すればコルには降りられるが、穴毛岩側は岩屑が積もった壁になっており、危なすぎるように見えた。 またまた作戦変更で、昨年試登したラインの上にあるブッシュ帯へ一旦下って、右岩稜に回り込むことにする。 地形が分からないので、あとはクライマーの勘。 垂直の木登り(下り)に近いところもあるが、懸垂下降もできないのでランニングを取りながらリード方式でルートを探す。 2ピッチ目でイシハラさんが上手いこと右岩稜の大ギャップを発見 ここから覗く穴毛の穴の凄まじいこと。 上部は、後ろの壁から独立した、謂わば虹の橋のよう わしリードで取付くが、それほど易しくはなかった。 ハンノキのブッシュでビレー。イシハラさんを迎える。 穴毛の穴の写真をとるイシハラさん ここから4ピッチの懸垂下降で右岩稜の末端へ下降する。 昨年の2回の試登が役に立った。 BCに戻り、ギアの整理とパッキングを済ませ、穴毛谷を下降する。 1時間足らずで林道に出て、昨年との違いに驚いた。 風呂にも入らず、トイレで顔を洗い 行動食の残りをつまみながら、缶コーヒーを啜り ジミヘンの遺作 First Rays Of The New Rising Sun 聴きながら岐阜へ帰る
by s_space_s
| 2018-10-23 23:15
| クライミング
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Comments(2)
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コノサカヅキヲ受ケテクレ ドウゾナミナミツガシテオクレ ハナニアラシノタトヘモアルゾ 「サヨナラ」ダケガ人生ダ ― 井伏鱒二訳詩「勧酒」原詩(五言絶句)于武陵 ― by gaoro 検索
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