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blog版 がおろ亭

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2021年 01月 20日

日本百名山

遅ればせながら、この名著を読みました。
深田久弥の時代(大正~戦後初期)の山登りの感じがよくわかって面白い本でした。
特に評価の高い小説家ではなかったようですが、文章にもなかなか味がある。

今まで、一登山家が選定した百山を登山の目標にするのは、何か腑に落ちないと感じてきました。
けど、これを読んだら登ってみたくなる気持ちもわかるような気がしました。
最近の200とか300は相変わらず意味が分かりませんが・・・。
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特に面白いと思った文章をメモします。

幌尻岳
「翌朝、地下足袋にワラジという恰好で宿を出た。歩きだしから、いきなり川の中をジャブジャブ渡った。川筋がすなわち道だから、徒渉はそれから限りなく続いた。初めはなるべく濡れまいと心がけていたが、ヒザが濡れ、モモが濡れ、ついに冷やりと一物が水に犯されるに及んで、もう観念して濡れることには平気になる。」

沢登りで登頂した山も多い。特に北海道の山。

火打岳
「どんなに雪が降り積もっても山のすべてを覆うわけにはいかない。どこかに雪をつけない崖や岸壁がある。ところが火打だけは完璧に白かった。」
滑るとこんな感じ

鷲羽岳
「私のように登山をもっと広く考え、たとえ山へ行かなくても、書斎で山の本を読み山の由来を尋ね山を思慕することをも、山岳人の立派な資格に数えている者にとっては、まことに興味津々の・・・」

まっちゃんならこの資格あるかもね。

乗鞍岳
「乗鞍は北アルプスに入れられているが、遠くから眺めると、北アルプスの連嶺とは独立した形で、御嶽と並んで立っている。そして御嶽の重厚に対して、乗鞍には颯爽とした感じがある。」

この感じ解ります。

仙丈岳
「山頂には遭難者の追悼碑を兼ねた立派な方向盤が建てられていたが、昔はそんなものはなかった。何であれ山頂には営造物を置かない方が私には願わしい。」

宮ノ浦岳
「それからあの素朴な浦辺の村々も、観光客を迎えるようになってはその趣を変えて行くことだろう。再遊などせず、土産物も絵葉書もなかった昔の屋久島の思い出に浸っていた方が賢明かもしれない。」

思うに、深田は今日の百名山コレクターとは全然別の種類の登山家だったと思います。



下呂の温泉宿に入って暇なので、一杯やりながらのんびり読書

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うまい酒と、この半分でも十分なご馳走
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加子母の大杉
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帰りに寄った食堂にいた、わんこ

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新潮文庫







by s_space_s | 2021-01-20 17:35 | 読書 | Comments(0)


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