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blog版 がおろ亭

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2008年 08月 13日

スカルブスネスルート工作

8月4日から8日まで昭和基地の南方50kmほどのところにある、スカルブスネスという大陸沿岸の露岩地域へルート工作に行ってきました。

7月下旬に行ったラングホブデの雪鳥小屋に宿泊し、ラングルートの途中から更に南にルートを伸ばしました。
今回はありがたいことに晴天が続いて、予定どおりルート工作とスカルブスネスきざはし小屋のGPS設置の作業を終えることができました。
来月には今次隊で最南の沿岸観測地点となるスカーレンへのルート工作もありますが、残念ながら、メンバーに選ばれなかったので、わしにはスカルが最も遠いオペになりそうです。

できればスカルブスネスにあるシェッゲとラングの長頭山には登ってみたい・・・

1日目
目覚ましが鳴らず(止めたのかも)少し寝過して、焦りました。
U隊員に電話してもらってセーフ。

今回はメンバーが5人で、中型雪上車SM40が2台、小型浮上型雪上車SM30が1台の編成でした。
SM30はルート工作のときに先行してルートを作る車なので、ずっとわしが運転させてもらいました。
ルート工作時は3人で乗って作業するのですが、移動時には1人で運転したので、眠気覚ましにハーモニカを吹いたり、大声で矢沢永吉など歌いながら運転しました。

今日もお~まえはカマロを乗り付けて~♪
スカルブスネスルート工作_e0064783_0514736.jpg

途中海氷が割れているところがありました
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先週も来たラングの雪鳥小屋
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夕食が済んでから古いエイトトラックで大カラオケ大会。

2日目
海氷は安定していてルートは順調に伸びます。
氷が固いので1人ではなかなかドリルが入っていきません。
O隊員とG隊員のはじめての?協同作業です。
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しかし、シェッゲに近づいてみると、手間に巨大な氷山が立ち塞がっていました。
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目的のスカルブスネスきざはし浜のある湾の入り口はシェッゲの左手です。
しかし、こちらから見ると、その辺りには氷山群があり、かわして行けるか微妙です。
安全策は大きく右に振って大陸から離れ、氷山をかわしてからシェッゲの手前で左に戻るラインですが、かなり遠回りになります。

A兄と相談し左から湾に向けて直接入るほうに賭けてみることにしました。
だめなら戻ってラインを変えるつもりで。

数ポイント伸ばして本日の作業終了。
ここからラングに戻るだけでも2時間近くかかります。
小屋に帰り、給油したり、雪上車の雪落としなどが終わるともうまっ暗。
夜はトランプで大貧民をやって、大貧民で終わったので、罰ゲームに発電機のエンジン切りに行きました。

3日目
巨大氷山の左端を狙ってルートを伸ばします。
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氷山群に入ってみると、意外や、かなりスペースがありジグザグにルートをとって通過できました。
中世のお城のような氷山
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シェッゲの麓まで来ました。
見えている北面はなだらかですが裏側は400mの大岩壁です。
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湾の入口までルートを伸ばし今日の作業を終了。
帰りにルート沿いの氷山でオンザロック用の氷を取って帰りました。
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夜はわしのために誕生会を開いていただきました。
刺身、焼きそば、八宝菜、特製のアップルパイ。
G隊員が持ってきてくれたウイスキー竹鶴を氷山の氷でオンザロックにして、弾ける空気の音と味を楽しみました。
当たりの氷山だと2万年も昔に氷に閉じ込められた空気がお菓子のパチパチクンみたいに弾けていい音がするのです。
思い出深い誕生日になりました。

4日目
今日はラングの小屋を立ち下げ、スカルブスネスきざはし小屋に入る日です。
出発前に、少し時間があったのでやつで沢を散策しました。
前回雪に隠れていた、やつで沢のプールの氷が雪が飛ばされてすごくきれいになっていました。
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氷の滑り台で遊びました。
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湾の入り口からは特に障害になるものもなく、懐かしいきざはし小屋に入ることができました。
夏の小屋の様子
小屋の発電機のバッテリーが弱っていてエンジンがかからず少し苦労しましたが、快適な小屋でした。

5日目
今日もいい天気。
GPSの設置作業をしてから、少し時間があったので近くの池に散歩に行きました。
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池の氷に閉じこめられた泡が面白い
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小屋を立ち下げ、いざ出発
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氷山も眺めるだけなら綺麗なんだけど・・・
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雪上車での昼食
だいたい朝炊いたご飯とレトルトの牛丼や中華丼を温めて食べてました。
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あまり美味そうじゃないけど、野外で食うと何でも美味いんです。
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7時間ほど車を走らせ、夕方基地に着きました。

by s_space_s | 2008-08-13 01:31 | 南極 | Comments(2)
Commented by Repu at 2008-08-16 11:25 x
がおろさん、こんにちは。
先日稚内市青少年科学館へ行ってきました。旅の途中に立ち寄ったのですが、南極関係の展示がよかったです。
館長さんによると、南極の展示面積をふやし内容を充実することを熱望しているそうです。会話の折に「南極で採取された隕石をぜひ展示したいんだけどなぁ」とおっしゃっていました。
南極では結構隕石が見つかるとききますが、がおろさんがいらっしゃってから採取はできましたか?
そしてもし発見されたら稚内のほうへプレゼントしてあげてください。
では健康に留意され活動が充実したものでありますよう、エールをお送りします。
Commented by s_space_s at 2008-08-16 18:17
Repuさん、こんにちは
現在は、南極で拾った石も砂も生物の標本なども許可なしに持ち帰ることは許されていません。残念!
昔はお土産に石を持ち帰ったようなことを聞いたことはありますが。

それから、南極だからたくさん隕石が降ってくるというわけではありません。
南極で多くの隕石が発見されるところは、内陸の大きな氷河が山脈にぶつかるところです。
氷河上に落下した隕石が、氷河が山脈にぶつかるところに溜まり、氷河が昇華して隕石が氷河の表面に出てくるのです。
49次隊のK隊員は41次隊でも越冬経験がある方ですが、そのとき内陸の「やまと山脈」で沢山隕石を採集したそうです。
周りに露岩がなくて、石なんか落ちているわけがない雪の上に石が転がっているので、見ればすぐわかるそうです。

というわけで、よく調べれば昭和基地の周辺でも隕石は落ちているのでしょうが、他の石もごろごろしているので、簡単には見つけられないというわけです。

北海道の山いいですね。
膝を無理しないよう、のんびり楽しんでください。


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